海物語シリーズは1999年の初代から現在に至るまで、演出と音楽の融合で多くのファンを惹きつけてきました。その中でも日本各地の情緒や祭りをモチーフにした「IN JAPAN」系の系譜は、和のエッセンスを色濃くまとった映像とサウンドでシリーズの幅を広げました。『CRスーパー海物語 IN JAPAN サウンドトラック』は、まさにその世界観を象徴する公式音源をまとめた配信作品で、ホールで耳にしたフレーズやメロディを日常で味わえるアーカイブとして位置づけられます。演出の高揚感や、夏や旅の解放感、祝祭のにぎわいといった情緒的体験を音楽単体でも追体験できることが本作の価値です。
アルバム概要
『CRスーパー海物語 IN JAPAN サウンドトラック』は配信専用のEP構成で公開されました。全5曲、約17分のコンパクトな尺で構成され、各曲は遊技機の代表的な場面やモードを担うテーマとしてセレクトされています。音作りは和太鼓や掛け声を想起させるリズム、笛やストリングスの情緒的なフレーズ、シンセによる煌めきのテクスチャなどが折り重なり、映像演出とシームレスに結びつくよう設計されています。サウンドトラックとしての聴感は、単なるBGM集にとどまらず、演出の抑揚に寄り添う「物語性のある楽曲集」という印象で、作品全体に通底するのは日本的な祝祭感と海辺の解放感です。
収録曲の紹介
楽曲は、大当たりラウンド中に流れるプレミアムソングです。アルバム通しで再生すると「祭りの高揚」から「夏の解放」へ、そして「物語の余韻」へと滑らかに移ろう流れを感じられます。
楽曲名 | 歌手 |
---|---|
あっぱれジャパン | マリン |
アカキイロスミレイロ | マリン&ワリン&ウリン |
ミスマdeワッショイ | マリン with 7代目ミスマリンちゃん |
Summertime Magic(サマータイムマジック) | マリン with 7代目ミスマリンちゃん |
ふたりの海物語 | ワリン |
あっぱれジャパン
「あっぱれジャパン」は本機の象徴ともいえるプレミアムソングです。マリンちゃんが歌唱を担当し、日本の四季折々の美しさをテーマにした歌詞と和のテイストを取り入れたメロディが特徴となっています。春夏秋冬の情景を織り込んだ壮大な歌詞に、三味線風のフレーズや和太鼓を思わせるリズムが重なり、聴くだけで日本の風景が目に浮かぶようです。サビで何度も繰り返される「あっぱれジャパン!」のフレーズは力強く、思わずこちらも口ずさんでしまいますね。
ゲーム中では大当たりラウンド中に5連荘以上を達成した際に流れるご褒美曲として登場しました。季節ごとの映像演出とともにこの曲が流れると、「やった、大連チャン達成だ!」という興奮と相まって感動もひとしおでした。ファンの間でも人気が高く、「和の心を思い出せる名曲」「海シリーズで一番テンションが上がる」という声も多いです。四季の美しさと大当たりの喜びを重ねた爽快で誇らしい一曲と言えるでしょう。

アカキイロスミレイロ
「アカキイロスミレイロ」はマリン・ワリン・ウリンのトリオが歌う賑やかな祭りソングです。タイトルは「赤・黄・スミレ色」という色名の組み合わせで、まるで色とりどりの花火が夜空に打ち上がるようなイメージを喚起します。曲調は軽快な和風ポップスで、祭囃子のような笛や太鼓の音色が盛り込まれ、聴いているだけでお祭りの熱気が伝わってくるようです。歌詞にも「ヤッショマカショ」といった掛け声が登場し、プレイヤーも一緒に「ワッショイ!」と盛り上がりたくなること必至!まさに“めでためでた”な祝い歌といった雰囲気ですね。
この曲は6連チャン以上という非常にレアな条件を満たした時に流れる超プレミアムソングでした。ホールで実際にこの曲を聴けた人は相当な強運の持ち主と言えます。そのため「サントラで初めてフルで聴けた」というファンも多く、「ゲーム中では一部しか聴けなかった華やかな後半も素晴らしい!」と好評です。3人のキャラクターが織り成すハーモニーも新鮮で、海物語シリーズでは珍しいトリプルボーカルの贅沢さを存分に味わえる一曲となっています。

ミスマdeワッショイ
「ミスマdeワッショイ」は、マリンちゃんと7代目ミスマリンちゃん(茜音、高嶋香帆、栗咲寛子の3名)が歌うスペシャルユニット曲です。曲名の「ミスマ」は「ミス・マリン」から、そして「ワッショイ」は祭りの掛け声から取られており、その名の通りお祭り騒ぎ感満載の楽曲です。軽快なお囃子に乗せて「ワッショイ!ワッショイ!」と盛り上げる様子は、まるで夏祭りのステージを見ているかのよう。実際、液晶演出では7代目ミスマリンちゃん達本人の映像が流れ、華やかな和装姿で祭りを盛り上げてくれます。ファンにとってはマリンちゃん(キャラクター)とミスマリンちゃん(実写アイドル)の共演という、たまらない演出でした。
ゲーム中では5連荘以上の大当たりで解放されるプレミアムラウンドで流れました。大連チャンのご褒美にミスマリンちゃん達が登場してくれる演出は、“夏祭りボーナス”さながらの特別感があります。曲自体は約1分45秒と短めですが、そのぶんインパクトは絶大。ショート映像と曲が終わる頃には「もっと続けて観たい!」と思うほどで、何度でもリピートしたくなります。サントラでフルサイズ(といっても短めですが)を聴けることで、彼女たちの掛け声やコーラスの細部まで堪能できるのが嬉しいですね。

Summertime Magic
「Summertime Magic」(サマータイムマジック)は、マリンちゃんと7代目ミスマリンちゃんによる夏全開のポップチューンです。英語混じりのタイトルが示すとおり、爽やかな夏の魔法を感じさせるメロディが特徴で、軽やかなギターサウンドとキラキラしたシンセが南国ムードを演出します。リズミカルでキャッチーな曲調は耳に残りやすく、一度聴けば思わず口笛を吹いてしまうほど!サビでは「Summertime Magic~♪」と開放感あふれるハーモニーが広がり、夏の海辺で夕陽を背に踊っているような気分に浸れます。
この曲は比較的早い3連チャン達成で流れるため、ホールでも耳にしたファンが多かった人気曲です。「夏祭りモード」での大当たりラウンドを飾ることもあり、浴衣姿のマリンちゃんやミスマリンちゃん達が花火の夜空を背景に歌う映像演出も印象的でした(想像するだけでエモいですよね!)。海物語らしい南国テイストに、日本の夏祭り要素と英語詞のオシャレ感がミックスされた異色のサマーポップで、聴くと自分も夏の魔法にかかったように明るい気持ちになれる一曲です。

ふたりの海物語
「ふたりの海物語」は、このサウンドトラックのラストを飾るバラード曲。シリーズでは珍しい演歌調の一曲で、ワリンが情感たっぷりに歌い上げる“一途な乙女の恋模様”が綴られています。ゆったりとした三拍子のリズムに乗せて、切ないメロディと言葉が心に染み入るようで、他の賑やかな曲とは一線を画す存在感があります。まるで昭和の名作歌謡のようなどこか懐かしい雰囲気もあり、年配の海ファンの方にも刺さる楽曲ではないでしょうか。
実はこちら、もともとは後継機種となる「金富士バージョン」で初登場した曲で、ワリンのソロ曲として話題になりました。ゲーム中では演歌歌手さながらの着物姿のワリンが登場し、しっとりと歌う演出が見られます。その人気を受けて、2020年には元AKB48で演歌歌手の岩佐美咲さんがカバーし、ワリンとのコラボCDまで発売されています。サントラに収録されたバージョンはゲーム音源のためボーカルはキャラクターのワリンですが、リアル演歌歌手のお墨付きというだけあって完成度の高い一曲です。海物語の世界観に演歌を取り入れた意欲作であり、聴けば聴くほど味わい深い珠玉のバラードとなっています。


ファンにとっての楽しみ方
ホールでの体験は一過性に感じられがちですが、公式サウンドトラックを常に手元で再生できることで体験は「可搬化」します。通勤や作業のBGMとして流すと、ふとした瞬間に演出の記憶がよみがえり、視覚と連動した感覚再現が起こります。リスニングのコツとしては、まずアルバムを曲順どおりに通しで聴き、ステージ遷移のような流れを身体で掴むことです。そのうえでお気に入りの曲をプレイリストに抜き出し、別作の海物語サントラや海系コンピレーションと混在させると、自分だけの「海物語ラジオ」を作れます。音質面では配信先ごとにビットレートやマスターが異なる場合があるため、高音質でのストリーミングやダウンロードを選ぶと、和楽器のアタックや金物系の余韻、シンセのエア感といった細部が際立ちます。ヘッドホンで聴くとステレオの定位や残響の設計が拾いやすく、スピーカーでは低域の量感と空気感が映像の「空間」を想像させます。どちらの環境でも、アルバムが意図する「祝祭から余韻へ」の物語線を意識して再生すれば、楽曲に込められた演出文法がより鮮明に立ち上がります。
購入・試聴
本作は主要な配信ストアおよびサブスクリプションで入手・再生できます。Apple MusicではEPとしての一括視聴が可能で、iTunesでは単曲購入とアルバム購入の両方に対応します。国内ダウンロードの定番であるmoraやレコチョクでも配信されており、ハイレゾや高ビットレート設定が選べる場合は音の立ち上がりや余韻が一段と映えます。Amazon MusicやSpotifyなどのストリーミングサービスでは、プレイリストに組み込んで他の海物語関連曲と並べる楽しみ方も便利です。各ストアの試聴機能を活用すれば、まずは気になる曲のイントロだけでも雰囲気を確かめられます。価格や提供フォーマットはストアにより変動するため、音質と使い勝手の両面から好みのプラットフォームを選択すると満足度が高まります。
まとめ
『CRスーパー海物語 IN JAPAN サウンドトラック』は、和の祝祭感と海辺の開放感をサウンドデザインで描き切った、シリーズでも印象的なEPです。5曲というミニマムな構成ながら、各トラックの役割分担が明確で、開幕の昂揚、情景描写、切り替えの躍動、季節感、物語の余韻という一連の演出文法を音だけで再構築します。ホールで耳にした音の断片が、家庭やモバイルでのリスニングによって時間芸術として立ち上がり、体験の記憶を柔らかく結び直してくれます。シリーズの音楽アーカイブとしても価値が高く、今後のタイトル群が同様に公式配信で整備されていけば、海物語という大きなIPの「音の歴史」を体系的に辿れるでしょう。和の情緒と現代的な音響のバランスが見事な本作は、初めて海物語の音楽に触れる人にも、長年のファンにもおすすめできる一枚です。